2025年を振り返る

 相変わらず、ここで書くことをせず今年が終わってしまった。今年は新潟や岩手を旅して、色々と考えたことがあり、それを書いてはみたのであるがまとまった形にまだならず、ここに載せることもなく今年は終わってしまった。北海道や東北について書くべきことが数多くあるのであるが、それもできず本年は終わろうとしている。

 できない理由は、まったくもって我が身の怠けであるのだが、あえて言えば、これも毎度の如く仕事で毎日、ものを考えたり書いたりしているので、とてもではないが、個人的関心事について書く気力も時間もないということだ。特に今年は、仕事で生成AIについて関わることが多かった。今年の1月にOpenAIのChatGPTがGPT-5を正式リリースし、ChatGPTの独走が続くかと思われたが、その後GoogleがGeminiの新バージョンを次々とリリースし、NotebookLMに様々な機能が追加された。GeminiとNotebookLMは連携して使うことができ、業務で使用する生成AIとしてChatGPT単体と比較すると、Googleの方が利便性は高い。ただし、今現在、OpenAIのChatGPTもGoogleのGeminiやNotebookLMもどちらも使い勝手は良い。また、その他の生成AIツールも数多くあり、生成AIは急速に進歩している。コンピュータとネットワークが世界を変えたように、AIはさらに世界を大きく変えるだろう。

 生成AIのツールの使い方を学ぶと共に、ナレッジマネジメントについて本格的に取り組むことになった。生成AIの進歩と普及は企業に経営資源として知識の重要性を認識させ、知識のマネジメントを生成AIがある今日の観点から考える必要性をもたらした。ナレッジマネジメントについては、自分が大学院生の時に多少かじったことがあり、あの頃から30年後の今、再びナレッジマネジメントに出会うことになるとは思ってもみなかった。このブログで先に書いたように、本当は歴史や経済思想史や社会経済評論のような時間的、空間的にもっとマクロなことをやっていきたいのであるが、そうはならんとばかりにもっと企業の現場に即したことをやっていくことになった。ますます、ここで書く時間も気力もなくなるであろう。

 思い返せば、今年の1月1日には石川県能登半島でマグニチュード7.6の地震が発生し、大きな被害をもたらした。被災地は現在も復旧には時間がかかっている。復旧の遅れには、人口減少や地域の過疎的な特性など、さまざまな要因が影響しているのだろう。今や日本の地方は、衰退の一途を辿っているところが多い。地方を歩くと、こんなに空いた土地が広大にあり、高速道路や新幹線が通っているのに、なぜ産業が発達しないのかと思う。しかしながら、「空いた土地」と高速道路、新幹線だけでは、産業発展の必要条件の一部に過ぎない。人材や電力、通信、サプライチェーン、市場アクセスの良さ、行政の支援などが必要であり、それらが地方には不足している。地方の産業復興には国家的なプロジェクトが求められる。地方に新しい産業を創出するための包括的な政策が必要である。今の政府には、それをやろうという意志がまったく見えないのはどういうことか。

 ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事力の拡大などから、国際社会に軍事力が再び重要な要素として浮上していることは否定できない。しかしながら、だからと言って軍事力を増強するという話になるのはおかしい。

 2025年に入っても、ロシアのウクライナ侵攻は継続し、戦況は膠着状態が続いた。ロシアは東部・南部の占領地域を維持しつつ、新たな攻勢をかけることもあったが、ウクライナ側の抵抗も強く、決定的な進展は見られなかった。戦争は長期化し、双方ともに多大な人的・物的損失を被り続けた。ウクライナは西側諸国からの軍事支援を受け続けたが、その支援の規模やタイミングをめぐっては、支援国間で意見の相違も見られた。特に、長距離ミサイルや戦闘機の供与については、エスカレーションを懸念する声もあり、慎重な判断が求められた。

 一方、ロシアは経済制裁に耐えながらも、中国やインドなどとの経済関係を維持・拡大し、完全な孤立には至らなかった。エネルギー資源の輸出先を多様化し、制裁の影響をある程度緩和した。しかし、長期的な経済成長への影響は大きく、軍事費の増大と相まって、ロシア経済は深刻な構造的問題に直面し続けた。ロシアとウクライナの和平案をめぐって、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が首脳会談を行ったが、焦点だった領土問題などで合意には至っていない。この戦争はまだこの先も続く。

 この戦争は、国際秩序のあり方に大きな問いを投げかけ続けた。国連をはじめとする既存の国際機関の限界が露呈し、大国間の対立が激化する中で、多国間協調の難しさが浮き彫りになった。また、サイバー攻撃や情報戦、経済戦争など、従来の軍事衝突とは異なる形態の対立も拡大し、現代の戦争の複雑さを示した。

 一方、中国の対外進出は2025年も継続し、その影響力はさらに拡大した。一帯一路構想に基づくインフラ投資は、アフリカや中央アジア、東南アジアを中心に進められ、港湾、鉄道、道路、発電所などの大型プロジェクトが次々と完成した。これらの投資は、現地の経済発展に寄与する面もあるが、同時に中国への依存を深め、債務問題を抱える国々も増えた。スリランカやパキスタンなど、債務返済に苦しむ国々との関係は、中国の戦略的影響力を示す事例となった。

 南シナ海や東シナ海における中国の活動も活発化し、軍事演習の頻度や規模が増大した。台湾海峡における緊張も高まり、中国の軍事的圧力は継続した。中国は、これらの海域における自国の権益を主張し続け、国際的な批判があっても姿勢を変えなかった。米中関係は、経済面では一定の協調も見られたが、安全保障面では対立が続いた。特に、台湾問題をめぐる緊張は、2025年を通じて国際社会の懸念材料であり続けた。

 経済面では、中国の企業が世界各地で投資を拡大し、特に新興国市場での存在感を強めた。電気自動車や再生可能エネルギー関連の技術で、中国企業は国際競争力を高め、欧米企業との競争を激化させた。また、デジタル技術やAI分野でも、中国企業の進出は目覚ましく、データ管理やプライバシーをめぐる議論も生じた。中国のアプリやサービスは、多くの国で利用され、その影響力は経済だけでなく、情報や文化の領域にも及んだ。

 中国は軍事力よりもソフトパワーで国際社会に大きな影響を及ぼす国になっている。中国の対外進出は、単なる経済的・軍事的な拡大にとどまらず、国際的なルールや規範の形成にも影響を与え始めている。これらを既存の国際秩序への挑戦として捉える見方もあるが、中国の進出を単純に脅威として見るのではなく、その背景にある経済成長の原動力や、開発途上国への支援という側面も理解する必要がある。問題は、その進出がどのような国際秩序を目指すのか、そしてそれが既存の国際社会の価値観とどのように調和するのか、という点であろう。

 その昔、世界覇権国であったイギリスから見て、アメリカは脅威であった。そのイギリスも覇権国であったスペインやポルトガルから見て、国際社会を脅かす脅威であった時代があった。日露戦争に勝利した日本もまた欧米諸国から見て脅威であった時代もあった。あの国は脅威であり、国際社会を脅かすと敵視することは、過去の歴史で何度もあった。今の中国の台頭もそうしたものなのである。

 ところが、今の我が国の論調は、ひたすら中国の脅威を煽り、嫌中意識を高めるものになっている。政府が26日に閣議決定した2026年度予算案は、防衛関係費(米軍再編関係経費を含む)には、12年連続で過去最大となる9兆353億円(前年度当初予算比3・8%増)を計上したという。自衛隊の施設や装備の刷新や人件費の増加など、やらなくてはならないことは数多くあるが、過去最大となるべき予算は防衛費ではないはずだ。

 ロシアがなにをしようと、中国がなにをしようと、資源小国日本の存立は軍事ではない。今の時代は、教育と文化と経済が強くなければ国は栄えない。それらの強固な土台の上に政治があり、外交があり、科学テクノロジーがあり、軍事がある。アルビン・トフラーが言っていたように、新しい富の源泉は「知識」にある。この認識は、なにがどうなろうと変えるべきではない。軍事力は確かに必要だ。しかし、それは教育と文化と経済という強固な土台の上に築かれるべきものだ。その土台が弱ければ、どれだけ軍事力を強化しても、国の存立は危うい。資源小国である日本が、独立した国として存続するためには、軍事ではなく知識と技術と文化の力が必要なのだ。文化への投資は、単なる娯楽ではなく、国のアイデンティティやソフトパワーの源泉として重要である。

 ところが、この国が今行っていることは、まさにその逆である。防衛費を過去最大に増額し、軍事力の強化に力を注ぐ一方で、教育や文化、科学技術への投資は縮小している。大学の予算は削減され、基礎研究への支援は後退している。文化芸術への予算も限られ、地方の文化施設は次々と閉鎖され、文化の継承は困難になっている。経済面でも、イノベーションを生み出すための長期的な投資よりも、短期的な成果を求める政策が優先され、産業の構造転換は進まない。

 結局のところ、この国は衰退する一途をたどりながら、2025年が終わろうとしている。

 以上、この文章は、AI搭載のコードエディター「Cursor」(カーソル)を使って作成し、それを人の手で加筆・修正・編集したものである。Cursorはプログラミングのエディターだと思っていたのだが、どうやら一般的な文章作成にも使えるツールらしいということを知り、試してみることにした。仕事では、Microsoft 365 Copilotで文章を添削することが多い。実際にCursorを使ってみると、Microsoft 365 Copilotでの文章作成や修正よりも、AIと文章がよりシームレスに連動しているのが興味深い。AIが(というか、このアプリが)文章を整形・編集してくれたり、指示した場所にファイルを保存させたり、移動させたりするのである。ChatGPTやGeminiの場合、ファイルのテキストはコピー・ペーストしなくてはならないし、その後の修正や編集はファイル上の(ファイルに戻って)テキストに対して人の手で行わなくてはならない。ところが、Cursorはこれらがすべてエディター上でAIと連動してできるのである。これは驚きであった。

 書く行為と生成AIはどう関わるのだろうかと考えてきたが、Cursorは驚異的なツールだと思う。CursorでAIと会話をしながら文を書き、編集し、管理するという一連の作業に、ChatGPTやGeminiやClaudeなどでのAIとの対話とはまた別の、ある種の快感すら覚えるのだ。数多くのAIツールが出現した2025年の終わりに、このツールと出会ったことは、大変興味深い体験であった。

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